長野県希少野生動植物保護条例 希少野生動植物は、長野県の自然環境の重要な構成要素の一つであり、県民共有の貴重な財産です。この 希少野生動植物を保護するため、個体の捕獲・採取及び生息地等の保護に関する規制や保護回復事業等に 関して必要な事項を定めました。今後は、希少野生動植物の総合的な保護施策を推進し、生物多様性の確 保を図りつつ、自然と人との共生の実現し、これを次代に継承していくことを目指します。 この条例では、県内に生息又は生育する野生動植物の種(亜種又は変種を含む。)又は地域個体群(地域 的に孤立した個体群)のうち、次の項目のいずれかに該当するものを「希少野生動植物」と定義しています。 その存続に支障を来す程度にその個体の数が著しく少ないもの その個体の数が減少しつつあるもの その個体の生息地又は生育地が消滅しつつあるもの その個体の生息又は生育の環境が悪化しつつあるもの 上記に掲げるもののほか、その存続に支障を来す事情があるもの 具体的には、県が作成を進めている県版レッドデータブックに掲載されているものが中心となります。 平成15年度 植物について、指定希少野生動植物及び特別指定希少野生動植物を指定しました。 平成16年2月19日付け長野県報第78号で指定種を公告しました。 指定希少野生動植物の採取等を行う場合は、あらかじめ届出を提出する必要があります。 特別指定希少野生動植物は、原則として採取等が禁止されます。 学術研究、教育及び保護回復を目的とした適正な繁殖を行おうとする場合に採取する必要がある場合は、 知事の許可を受けなければなりません。 特別指定希少野生動植物は、販売流通についても規制することとし、栽培品であっても、販売流通を行う 場合には、あらかじめ届出を提出する必要があります。 [指定]と[特別指定]の違い この条例では、希少野生動植物を保護することが私達県民全員の責務であると規定しています。これは、 県民参加による希少野生動植物の保護回復が図られることを期待しているものです。 一方で、一部の人達の盗掘や踏み荒らしによる個体の減少、開発行為等による生息地等の消失など、一定 の規制が必要なものもあります。そうした、規制の必要な希少野生動植物を指定し、より実効性の高い保 護施策を進めていこうとするためのものです。 ○指定希少野生動植物 希少野生動植物のうち、特に保護を図る必要のあるもので、捕獲・採取、踏み荒らし及び開発行為等によ る減少の動向を監視するため、行う際に、あらかじめ知事に届出を提出しなければならないものです。 ○特別指定希少野生動植物 指定希少野生動植物のうち、特に緊急に保護を図る必要のあるもので、捕獲・採取、踏み荒らし及び開発 行為等による影響を回避するため、それらの行為を原則として禁止するものです。 長野県版レッドデータブック作成の背景 地球上に生命が誕生して以来、30億年以上かけて適応放散と絶滅をくり返し、多種多様な生物が進化して きました。その結果現在の地球上における生物は、全種数が1000万種とも3000万種ともいわれています。 ところが、現在は年間に2〜3万種もの生物が絶滅しているとの推定もあり、恐竜が絶滅した白亜紀末(約 6500万年前)をしのぐ速度で大量絶滅が起きているといわれています。これは、森林伐採や大気・水質汚 染をはじめ、様々な人間の活動による地球環境の著しい悪化などが大きな原因です。 このような状況を警告するため、国際自然保護連合(IUCN)は1966年、国際的に絶滅のおそれのある野生 生物の種をリストアップし、それらの生息状況などを解説したレッドデータブックを発行しました。 その後、各国で国内版のレッドデータブックが作成されるようになり、日本でも、植物については1989年 に(財)世界自然保護基金日本委員会と(財)日本自然保護協会による「我が国における保護上重要な植 物種の現状」、さらに2000年には環境庁(現 環境省)による「改訂・日本の絶滅のおそれのある野生生物- レッドデータブック- 植物I&II」動物については1991年に環境庁(現 環境省)による「日本の絶滅のおそ れのある野生生物(レッドデータブック)脊椎動物編、無脊椎動物編」が発行されています。さらに、地 方版(都道府県版及び市町村版)のレッドデータブックも各地で刊行されるようになり、地域でも絶滅の おそれがある生物に関心が寄せられています。 こうした社会情勢を背景に、長野県でもレッドデータブックの作成が望まれてきました。そして、平成10 年度から県版レッドデータブックの作成事業が始まり、平成13年度には維管束植物編・平成15年度に動物 編を発行しました。平成16年度に非維管束植物・植物群落編の発行をめざしています。 Eメールアドレス:kankyou@pref.nagano.jp Eメール以外の、郵送・FAXでも受け付けています。 [お問い合わせ先] 住所:〒380-8570 県庁 生活環境部 環境自然保護課 自然保護係あて tel.026-235-7180 fax.026-235-7498 |