ポジションについて

選手はスタンツをおこなうにあたり、各々ポジションと、その役割があります。
チアリーダーは例え相手の気持ちを理解する為だけでも、また技術を向上させる為にも
物理的に不可能な場合は除いて、様々なポジションを試してみるべきです。

スタンツには4つの主要なポジションがあります。

1. トップ(Flyer)
宙に飛ばされ、息を飲む技や宙返りで観客を魅了します。
2. ベース
トップをトスで飛ばしたり、掴んだり、支えたりします。
3. スポット(Third)
スタンツの後方の責任を持つだけでなく、
ベースがトスしたり、掴んだり、支えたりするのを手伝います。
トップを見ているだけの役割ではないのでスポットはサードベース(3人目のベース)
とも考えられます。
4. スポッター(もしくはfourth)
スタンツの安全性を確保し、必要があればスタンツの補助をします。
日本では”ジェネスポ”と呼ばれています。

 誰でもトップ・ベース・スポットになれますが、各ポジションに適切な体つきもある事を覚えておいてください。

注意:シングルベースの際のトップは通常、女性を指しますが、
これは最も一般的だからであり、どちらの性でもどのポジションも行うことは可能です。

 トップ TOP,FLYER

"フライヤー"もしくは"クライマー"とも言われますが、トップはリフトされたり宙に飛ばされるため、
一般的には他のチームメイトより小柄な人が多いです。

トップとしての役割は

1.体を締める

トップは常に体を締め、肩は後方に下ろして、膝も緩めないようにします。
この姿勢であればベースにとってはトスもバランスさせるのも容易でしょう。
前屈みになったり、膝を曲げたりしたら重心が移動してしまいます。
これはベースの安定を邪魔してしまい、スタンツが失敗する可能性が高くなります。
直ぐに脱力してしまうトップはベースにとっては重く感じ、スタンツもやり辛くなります。
もう一つ、体位についての大事なヒントは片足で立っていたり、
足を付ける必要がある特定なスタンツの時以外では足は必ず肩幅に開いていること。
それより広ければベースを開かせてしまい、スタンツの安定度を下げ、失敗する確率も上がってしまいます。

2.バランスはbaseに任せる

体を締め続け、自分でバランスるすのでなくベースに任せる事は最初は難しいかもしれません。
トップとベースは、別々でなく一体であると考え、下からバランスさせましょう。
しかし、「トップは何もしない」という事を誤解してはいけません。
トップは自分でバランスを保とうとして動き続けるのではなく、
その「姿勢保持の為のコントロール」をし続けなくてはいけないのです。
優秀なトップは姿勢を保っている最中に、身体の中でとても繊細な作業をしています。

3.行きたい方向を見る。

正面を見れば姿勢は安定します。しかし下を見れば、下に落ちるでしょう。
顎を上げて上を見れば背中は反りやすくなり、後方に倒れやすくなります。
常に視線を合わせる定留点を見つけましょう。
一点に集中することは平衡感覚を保つことが出来、技もさばきやすいでしょう

4.落ちる時も体を締める。

ベースにとってみれば、自分に向かって落下しながら腕や足を振り回しているトップほど怖いものはありません。
大きな怪我をする恐れもあります。
ベースに自分をキャッチしてもらうのを、ためらわせてせてしまいます。
体を締め、ベースにとってキャッチしやすい姿勢を作りましょう。

 ベース Base

ベースの大きさや身長は多様ですが、力強くトップを完全に支えることが出来なくてはいけません。
オールガールのスタンツでは、たいていベースを二人要し、
男女のパートナースタンツでは主に一人で行います。

ベースとして守らなければいけないのは

1.体を締め、姿勢は良く。

トップと同様に、真っ直ぐな姿勢で腹筋を締めればスタンツで効果的でしょう。
ベースが犯す最も一般的な過ちは、スタンツ中に背中を反ることです。
これは腰に非常に負担をかけ、スタンツの安定性を下げます。
安全に楽にスタンツをするには、足をしっかり踏ん張り、背中・肩・首を一本にすることです。
体操で言う「肩入れ」の姿勢が非常に大切になります。

2常にトップを見、視線は腰に。

常にトップを注視しましょう。
トップの腰の動きは、トップの体がどの方向に行くか一番最初に示してくれます。
落下する時、ベースにどこに向かっているか知らせる貴重なサインなのです。
ベースはトップが如何なる形で落下しても腰をキャッチする責任があります。(縦でも横でも)

3.スタンツの下での動きは最小限にする。

バランスを保つのにスタンツの下で調整をするのは良い事ですが、
ロードする時、つまり立ち上がりの時は避けましょう。
大きな動きはバランスを崩し、スタンツの落下の要因になります。
スタンツしている時は筒の中にいると想定してみて下さい。
こうすると体を一本にし、無駄に足を動かさないように出来ます。

4.力は足を使って出す。

大腿四頭筋(太腿の前の伸筋)はスタンツにおける力の源で、必ず一番最初に使用されなければなりません。
スタンツで沈む時、(例えばクレイドルやトスの前)深く沈んで、
足の力を上方に向ける(爆発させる)事に意識しましょう。
これは上半身と腕だけを使った時よりも高さを出し、安定性を増します。

5.もう一人のベースに近づく。

これはリバティーやキューピーのように片足のエクステンションで特に重要とされます。
このタイプのスタンツではベースは胸と胸を合わせる位に近づきます。(軸を1本にするため)
エレベーターやエクステンションのようなダブルベースのスタンツの際は、
トップの肩幅よりも必要以上に離れていることはないはずです。

 スポット Third

"バックスポット"や"バック"、"バックベース"とも言われ、
スポットはオールガールによるスタンツの成功において重要な役割を果たします。
身長が高い選手が有利、という特徴もあります。
スポットはスタンツの後方を任され、トップの頭・首・肩を常に目で追い、
トップが落下する傾向があるかどうか注意します。
スポットはスタンツのタイミングを声に出すことも任されます。

スポットとして守らなければいけないのは:

1.flyerと常に接触していること。

スタンツで届く腰、足首、その他の体の部分をしっかり持ちます。
これはスタンツがグラグラしてきたらまず最初に支えられると共に、トップにスタンツ上での安心感を与えます。
視線は上へ向け、スポットの一番の役割はトップの首と頭を守ることです。

2.スタンツに参加する。

トップにしがみ付いているだけだったら何の手助けにもなりません。
スポットはベースと同じように一所懸命リフトしてトップを宙にいさせ続けなければいけません。
中ぐらいの高さのスタンツの場合スポットの身長は、
トップの腰か足首を持って体重をベースから軽減させるのに役立つでしょう。

3.足を使って体を締める。

他のポジションと同様に、スポットは緩いよりも
強い締まった体を維持している方が、トップを支えるのに適しているでしょう。
トップを乗せたりディスマウントする時に足を使って力を加える事に意識しましょう。

4.スタンツのコールを言う。

スポットはスタンツの始まりからディスマウントまで全てのコールを言います。
これはグループの全員が一人だけの指示に従えばいいので無駄な混乱を避けます。

 スポッター Spot

スタンツの前方や後方に立っているスポッターは"フォース" "スポット" "フロントスポット"とも言われ、
グループ全員の安全を任されます
必要があればスポッターはトップを受け止めたりスタンツ中のベースを支えたりします。
通常トップにばかり意識がいきがちですが、ベースも補助しなくてはいけません。
ベースが補助を必要としなくてもパートナースタンツでは安全の理由のため、スポッターを要します。

スポッティングする際に守らないといけない事は

1.予想外の出来事にも対応できること。

常にスタンツを見ていること。注意し、他のことに気を取られないこと。
スタンツの弱い部分を察知し、そこに自分を位置させること。
常に警戒し、ベースの補助やトップのキャッチの補助が出来るようにしましょう。

2.必要な時にスタンツの補助が出来るようにしておくこと。

スポッターとしての役割はトップのキャッチだけでなく、ベースを安定させ、補助することです。
ベースの手首やトップの足首を掴むことが必要ならそうしてください。
落下させるなら手伝った方がいいでしょう。

3.スタンツの中に腕を入れるのは避けること。

むやみにスタンツの中に手を入れたら腕を折る危険性があります。(残念ながら現実に起きています)
直接トップをキャッチしないのであればベースの後ろに立ち、腕を広げて体を支えてあげましょう。
これはトップをキャッチした際の衝撃でベースが倒れないのを防ぎます。
何をするにしても自分の顔・親指(これもまた良く起きる怪我です)・腕に気をつけましょう。

4.flyerに頼られることは避ける。

トップは落下しそうな度に掴まる人がいると思うと、落下してしまいます。
スタンツで立っている時に下に向かって腕を伸ばさせてはいけません。
これを避けるには上を見、手を伸ばさないことです。

スタンツを行う際は以上のガイドラインに従えばこれらは良い習慣となるでしょう。


スポッティングについて

スポッターはスタンツを補助し、新しいスタンツに挑戦したり、まだ完全でないスタンツを行う際の安全対策です。
スポッターは自信を持ってスタンツのスポットをし、トップを支えるベースを補助できるようにします。

スポッターの立ち方には主に2派に分かれます:腕をあげる派 と 腕を下げる派 です。

手を上げるスポッターはトップにより近く、落下しそうな時には直ぐに補助できます。
しかしトップは少しでもグラついた時、自分で引き上げてスタンツを続けるよりも
スポッターの手を掴みに行く傾向があります。
手を上げてスタンツに触れていることは見ているだけよりも
触れていることによって落下を感じ取ることが出来ます。

しかしこれはトップの邪魔をし、気を散らせることもあります。
また、上げている手が視界を限定してしまい、ベースへの補助が遅れてしまいます。
トップを落下から守る事は必要ですが、スタンツやピラミッドを崩さないようにする事が先決です。

「手を上げる」「手を下げる」はチームのスタンツのレベルにもよります。
初心者は「手を上げる」方が良いでしょうし、上級者は「手を下げる」でも落ち着いてスタンツができるでしょう。
コーチはスポッターを付け過ぎて過保護にならないように注意しましょう。

リバティーからヒールストレッチに行くのにスポッター3人が周りに立っているのは不必要ですし、
(注:リバティー〜ヒールストレッチの練習をするレベルの選手には多いという事)
スタンツをしている本人達や見ている人に不安を植え付けてしまうでしょう。
「3人もスポッターがつかないといけないぐらい下手なの?」と思うかもしれません。

実際にはたくさんスポッターがいても何も出来ない人が多いのです。

安全にスタンツが行われるようになったらスポッターは新しいスタンツに挑戦する時や、
問題があるスタンツを練習する時にのみ大勢いるべきです。
最大でも3人(前方、後方右、後方左)のスポッターで十分です。

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