絶対防ごう
熱 中 症
熱中症とは
熱中症とは一般的に
暑熱環境下
【高温・多湿・無風・直射日光下・通気性の悪い体育館など】
で激しい活動を行ったときに生じる疾患の総称です。
簡単に言えば、体の中と外の暑さによって引き起こされる様々な体の不調です。
スポーツ障害の中では最も重症度が高く、
最悪の場合は死に至る
事もあります。
いつ?
熱中症というと
暑い環境で起こるもの、という概念
があるかと思われますが、
スポーツでは体内の筋肉から熱を発生する事や、
脱水などの影響により
寒いとされる環境においても発生
しうるものです。
実際、11月の暑いとはいえない季節や2月などの寒い時期にも死亡事故が起きています。
事故の発生時刻は10〜14時に多く発生に至る練習時間は4時間以内が顕著ですが、
運動開始から30分程度の短時間内にも発症する例もみられます。
ある調査によると1990〜1999年までの
10年間
で学校管理下のスポーツ活動中に起きた
熱中症による死亡事故件数は
49件
あったという報告があります。
この数は限られたデータから判明した範囲内もので、しかも死亡事故に限ったものなので、
死亡に至らない事故や報告されないものを含めると相当数起きていると推測できます。
事故状況を調べてみると死亡に至るケースは以下の傾向にあると報告されています。
※ 事故発生後の応急手当の不備
※ 同様の状況下で繰り返し起こっている
競技種目別に分類した下の図を見ると野球・柔道・ラグビーの3競技に多いことが分かります。
野球
9
バスケットボール
2
柔道
7
ハイキング(遠足)
2
ラグビー
7
ゴルフ
1
サッカー
4
ボート
1
剣道
3
行進練習
1
マラソン
3
ソフトボール
1
登山
2
バレーボール
1
陸上
2
アメリカンフットボール
1
レスリング
2
種目別の熱中症による死亡事故数(1990〜1999年)
何故この3種目に多い理由は
競技人口の多さ
や、
炎天下や熱のこもりやすい場所で練習
するといった競技特性、
そして練習時に
全身を覆うようなウエアを着用
するなどの問題が考えられますが、
単にそれだけではなく、やはり
環境的な安全管理と熱中症に対する知識不足
という
管理責任に対する過失が指摘
されています。
熱中症は次のような環境下で起こっている傾向があると考えられます。
@ 不適切な練習・コンディショニングの管理態勢が不十分な状況
A 環境・運動条件に合わせた効果的な水分補給・休憩などが行われていない
B 暑いときに起こりうるという過信など正確に理解されていない、あるいは軽視されている
C 死亡事故に至るケースでは十分な応急手当が行われていない
熱中症にかかりやすい状態の人
○ 体力の弱い人(新入生や新人)
○ 暑熱障害になったことがある人
○ 暑さに馴れていない人
○ 風邪などで発熱している人
○ 怪我や故障をしている人
○ 体調不良者
○ 肥満の人
○ 性格的に我慢強い・真面目・引っ込み思案な人
熱中症の起こりやすい環境や活動の条件
○ 前日までに比べ、急に気温が上がった場合
○ 梅雨明けをしたばかりのとき
○ 気温がそれほどでなくても湿度が高いとき
○ 活動場所がアスファルトなどの人工面で覆われているところや草が生えていない裸地・砂の上などの場合
○ 普段の活動場所とは異なった場所での場合
○ 休み明けや練習の初日
○ 練習が連日続いた時の最終日前後
対策
発汗作用や代謝は人によって違うので、ウォーターブレイク以外で
自由に水分補給が出来るようにしておきましょう。
劣悪な環境下におけるスポーツ活動中の水分補給は決して悪いことではありません。
○環境条件を把握してそれに応じた運動・水分補給などを行う
強制飲水と自由飲水の両方を併用して行いましょう
↑どちらかだけではよくない
○暑さに徐々に馴らしていく
○個人それぞれの条件を考慮する
○服装に気をつける
○具合が悪くなったら早めに運動を中止して必要な手当てをする
チアリーディングでは
アリーディングにおいてはどうしても熱中症による障害よりも外科的障害の報告を受けますが、
日常の練習や安全講習会、またサマーキャンプにおいて気分を悪くして
「軽い熱中症では?」
というケースの選手をよく耳にします。
チアリーディングはたいていの場合体育館で活動します。
大きい体育館であれば、冬は寒く夏は暑く、風通しが悪い事が多く、
また小さめの体育館では、短時間で熱がこもりがちになります。
当然のことながら、
熱い空気は上昇します。
ということは、
↓
夏の暑い日の体育館では
ショルダースタンドの高さでも、気温はかなり高くなっています。
さらに大きなピラミッド…特に2,5段のトップパーソンの位置はかなりの気温になっています。
そんな気温の高い場所へ頻繁に上がるトップパーソンは、
何度となく暑いところにさらされているのです。
けっこう暑いのです。
また、高低差の激しいスタンツが続くと重力の変化や脳の揺れによって気分を悪くすることがあります
。
このことは、気をつけておかないとベースパーソンやスポッターは気づかないような事ですので注意しましょう。
その他にチアリーディングの競技特性から考えると、
ベースパーソンはスタンツの際に息を止めて力を入れる事が多い為に、
呼吸もままならなくなり、気分が悪くなってしまうということも考えられます。
それぞれ、どんなことが起こりうるか考えて対策を立てて練習していきましょう。
また、直接熱中症とは関係しにくいのですが、たくさん汗をかいたら、こまめに衣類を着替えましょう。
汗をかいたままでTシャツが冷たくなって風邪をひいてしまったり、
また、スタンツにおいては人と接触するので、
汗によるスリップ事故の防止(炭マ利用)と衛生面(皮膚などの擦過傷から化膿を起こす場合もあり)を考慮して
かいた汗の量に応じて頻繁に着替えを行うべきです。
熱中症予防8ヶ条
(日本体育協会)
1 知って防ごう熱中症
2 暑いとき、無理な運動は事故のもと
3 急な暑さは要注意
4 失った水と塩分を取り戻そう
5 体重で知ろう健康と汗の量
6 薄着ルックでさわやかに
7 体調不良は事故のもと
8 あわてるな、されど急ごう救急処置
熱中症の症状
しっかりと予防につとめても気分が悪くなってしう事があります。
熱中症は大きく分けると次の4つに分類されます。
@ 熱失神
皮膚血管の拡張による循環不全で血圧が低下。脳に血液がいかなくなり、
顔面蒼白・めまい・失神・呼吸回数の増加などが起こる。
A 熱疲労
皮膚や筋肉などの末梢血液量の著明な増加に対し、
心臓からの血液供給が間に合わずに末梢循環不全に陥る。
発汗による脱水で疲労が助長され、脱力感・倦怠感・めまい・頭痛・吐き気などがみられる。
B 熱痙攣
大量に汗をかいて水だけを補給していると、
血液中の塩分濃度が低下(ナトリウム欠乏脱水)して、
足・腕・腹部の筋肉痛や痙攣などが起こる。
マラソン中に足が突っ張って走れなくなるのもナトリウムの欠乏が原因。
C 熱射病
最も重症な状態。体温の上昇で脳の中枢機能に異常をきたし、意識障害が起こる。
うわごとを言ったり、呼んでも答えなかったりするなどの症状がみられる場合には死亡率が高い。
軽症
のどの渇き
全身がだるい感じ筋肉のケイレン
頭が重く、ぼんやりする
中等度
頭痛
顔面蒼白
めまい
吐き気発汗停止
脱力感
発熱
重症
高熱
ショック状態意識喪失
傾眠(いびきをかいて寝込む)←かなり危険
応急処置
電解質を含んだ水分の補給や、身体を冷やす事がもっとも重要ですので出来る限り早めに行いましょう。
(身体は内部・外部からの両方から)
直射日光が当たらない、なるべく風通しの良い場所に足を高く上げて寝かせ、
身体の表面を氷や濡れタオルで冷やしながら風を当ててあげましょう。
下図の身体を冷やすポイントは動脈に近いので比較的早く体内が冷えます。
吐き気・高体温・意識が朦朧としているときはすぐに病院に運びましょう。
酸素吸入や生理的食塩水の点滴が有効で、倒れてから治療を行うまで一刻の猶予もありません。
このように足を高くします。 身体を冷やすポイント(6ヶ所)
水分補給
熱中症予防にはやはり水分補給が有効です。
いくつか予防法がある中で、誰でも簡単に出来る方法なので、まずここからしっかりと取り組みましょう。
水分補給に関しては
水分補給について
を参考にしてください。