|
|
黄色の垂直線=身体の重心線 赤色の垂直線=重量物の重心線 黒色の直線 =骨 赤色の水平線=重心線間の距離 青色の直線 =筋肉(上腕二頭筋) 水色の三角形=支点 L=支点〜鉄アレイの重心線の距離 ※=身体の重心線〜鉄アレイの重心線の距離
エレベーターやオール・ザ・ウェイ等の動き出しでトップを持ち上げる場合、トップの足を持つ手の位置によって筋肉にかかる負荷はとても変わってきます。
上段の写真 このうように鉄アレイを保持しようとする時、 ▲肘の位置を支点として筋肉(上腕二頭筋)は↑の方向に腕を持ち上げます。 と同時に肩の筋肉もその腕を支えようと力が入ります。 支点(肘)と作用点(鉄アレイ)までが遠いと 肘屈筋(肘を曲げようとする筋肉)にかかる負担はかなり大きくなります。 ただのセットの時はよいのですが、 トップが乗り込んで一気に力が掛かった時には持ち上げる事が出来ないばかりか、逆に上半身が前に倒されてしまう事になります。
下段の写真 しかしこの写真のように肘を少し後ろに引く事によって、 支点(肘)と作用点(鉄アレイ)までの距離L(レバーアーム)は短くなり、肘と肩の負担は上段の写真に比べてかなり減ります。 また鉄アレイの重心線は身体の重心線に近づく(※)ので姿勢は崩れにくくなり全身の筋力を重量物に伝えやすくなります。
筋肉が力を発揮しやすい関節角度は110度前後です。 仮に上下段とも肘関節の角度が110度だとしても、肩関節の角度を変えるだけで効率よく運動を行う事が出来ます。
注:ここでは筋のレバーアームと物理計算式は割愛させて頂きました | | |
|
|
|
黄色の垂直線=身体の重心線 赤色の垂直線=重量物の重心線
上段の写真 重量物を上げる動作・・・ つまりエレベーターの動作において重心位置の項でも述べたように 重量物(トップの足)が重心線に沿って、 身体の重心線から離れないように上げなければ、 余計な力を必要とし、姿勢を崩す原因になります。 青い曲線の軌道はNGです。 青い直線の軌道はOKです。
下段の写真 エレベーターで保持する時に重量物の重心の垂直下に しっかりと肘が位置されていれば、腕の力だけに頼ることなく 身体全体の力を使い、楽に保持する事が出来ます。 | | |
|
|
|
簡単に言うと反射とは神経が何かの刺激を受けた時に、 意識しなくても勝手に身体が動く事をいいます。 人間の身体は首の姿勢の変化が上半身と下半身の動きに影響を与えます。
※頭部を前屈・・・つまり顎を引いた姿勢では 腕を伸ばす力が弱くなり、 脚を伸ばす力が強くなります。 ※頭部を後屈・・・つまり顎を上げた姿勢では 腕を伸ばす力が強くなり、 脚を伸ばす力が弱くなります。
上段の写真 技術解説Uのところでも説明したこの姿勢では顎を引いているので 脚を伸ばす力が強くなります。 トスでもエクステンションでも前半は ○トップの脚を見る為と ○脚を伸ばす力を出す為 に顎を軽く引いた状態にしましょう。
中段の写真 しかし腕を上げようとした動きの時には、 このように顎を引いてしまうと 腕を伸ばす力が弱くなってしまいます。 それに加えてエクステンション等では トップの状態を見る事が出来なくなるので 非常に危険です。 下段の写真 このように顎を上げれば腕を伸ばす力が強くなります。
この身体の反射を利用しなくては円滑な運動が出来ず、 障害が発生しやすくなります。
しかし顎を上げても肩の角度は広くするようにしましょう。 その理由は次の肩角度の項で。 | | |
|
|
|
肩の角度を開く為の 肩の柔軟性は非常に重要です。
上段の写真 ベースやスポットでは、肩の柔軟性が弱いと 肩角度が狭くなり、腕を上に上げた時に背中を反ってしまいます。 そうなると ○背筋や腰を痛める原因になります。 ○トップが崩れる原因になります。 ○キャッチの時にトップの下敷きになり、事故が起こります。
上記↑のようにならない為に、 ○肩の柔軟性をつけて、 ○腹筋力を強化しましょう。
「腹筋力が弱い」 これは腰を痛める原因の理由のひとつです。
中段の写真 のようにしっかりと肩角度が開くようにしましょう。
下段の写真 トップにおいては肩角度が狭い(肩が硬い)と HI−Vをしようとした時に、写真のようにスムーズに腕が上がらず、上段の写真のように背中を反ってしまう事になります。
肩は筋力強化だけではなく 柔軟性もしっかりと強化しておきましょう。 | | |
|
|
|
このショルダースタンドの手幅は他のスタンツ(2HALFの時など)の同じような手の形をとる時にも利用できます。
身近なもので考えてみましょう。
上段と中段の写真はショルダースタンドの乗り込みですが、この手幅は何かの手幅と似ています。
下段の写真を見て下さい。 自転車のハンドルの幅は、一部の特殊なものを除いて、ほとんどの自転車で同じ位の寸法です。 これは、この幅が人間工学的に一番効率が良い標準的な幅であると思われます。 しっかりと身体と車体を安定させ、コントロールしやすい幅なのです。
ですので、この幅を「目安」としましょう。 特に新入生や初心者への指導の際は、しっかりとその動作の形の意味を説明出来るようにしておきたいものです。
「チアではこうなの」 「私はそう教わったから」 では説明になりませんよ。 | | |
|
|
|
ダブルテイクの際のトップ、 スタンツの際のベース、 ジャンプの着地・・・など、など、など・・・
膝はとても重要な部位です。 チアリーディングに限らず、スポーツにおいて正しい膝の使い方は、 運動効率を良くしたり、怪我や故障の予防の為に非常に重要な動作です。
ダブルテイクのトップの動きで触れましたが、 ここではジャンプの着地を例にとって解説します。
写真0 このように膝の内側に青アザを作った事がある人、または、 作っている人を見たことがありませんか? これはジャンプの着地やディスマウントの着地が 正しく出来ていない為にアザを作るケースが多いのです。
主な原因は @ジャンプが低い=両足を閉じて着地できない A足の裏全体、もしくはカカトで着地をしている B両足を無理に閉じようとしている
実験(写真1〜4) 写真1 写真のように両足を少しだけ開いて立ちます。
写真2 まず、Aのようにつま先を少し上げて、 カカト重心で膝を曲げます。
すると、膝はつま先と同じ方向に曲がらず、 Bのように両膝が内側に寄ってきます。 身体が後方に倒れまいとしてバランスをとろうとする理由もありますが、 次に軽くジャンプして後方に倒れないようにカカトで着地をしてみると あなたの両膝はぶつかるでしょう。
写真3 今度はAのようにカカトを上げて、 つま先重心で膝を曲げてみてください。
すると、膝はつま先と同じ方向に曲がり、 Bのように両膝は前方に曲がります。 正面から見ると(写真4)両膝はぶつからずに曲がります。
写真5−A ダブルテイクの項でも触れましたが、 膝がつま先と同じ方向に曲がれば、 太腿の筋肉(大腿四頭筋)が正しく使われ、 バランスの取れた効率の良い動きになります。 解剖学的に言うと、膝は多少の左右・ねじれの動きは可能ですが 基本的に同じ方向にしか曲がらないのです。 つまり「膝を曲げる」or「膝を伸ばす」方向のみなのです。
なので
この方向以外に曲げ伸ばしをすると解剖学的にも 身体(骨・筋肉)に無理が生じるのです。
膝に無理が生じると程度によっては怪我をします。 この怪我はアザで済めばよいのですが、 膝の靭帯を伸ばしてしまったり、切ってしまったりする事があります。 伸ばしてしまったら、しばらくは運動できませんし、 切ったりしてしまったら手術をして、復帰までに何ヶ月もかかったりします。
着地 ジャンプやディスマウントの着地は 体操選手の着地を真似して、足裏全体やカカトで行わず、 つま先重心の効率の良い安定した着地をするように 心がけましょう。
※着地の際に大きな音がしないように着地をすると、 自然に良い着地が出来ます。
| | |
|
|
|
腹筋は上部・下部・腹斜筋とそれぞれをトレーニングしなければならないのです。 この3つの部位をバランスよく鍛えれば、腹部だけでなく全身のバランスも向上するのです。
腹筋下部は上部や腹斜筋よりも先にトレーニングされなくてはいけません。
腹筋の下部は腹部の中で一番弱い部分です。 その主な理由は次の2つです。 ※他の上部や横の腹斜筋よりもトレーニングされる度合いが少ない。 ※実際の運動の時、腹筋下部を使う時に股関節の筋肉も使ってしまう。
腹筋の下部を正しいフォーム鍛えるには、 上部・腹斜筋が疲労していない状態で行えるようにしなくてはいけません。 そのために、下部を先に鍛えるメニューを組まなければなりません。
トレーニング虎の巻「腹筋の実際」参照
初心者はむしろ下部をしっかりトレーニングしていきましょう。
将来、 腰痛を起こさない為に、 技術がスムーズに向上する為に スタートが肝心です。 そう、こんな腹筋トレーニングからはじまるのです。 | | |
|
|
|
ご存知「雑巾絞り」です。 ちゃんとした絞り方を出来ますか? 肘を曲げたまま身体の近くで、握力だけで絞ろうとしてはいけません。
ここで「雑巾の絞り方プチ講座」 ※左右の手の親指同士が近寄っていてはいけません。 1)野球のバットやゴルフクラブやラケットを持つ持ち方をします。 2)a1肘を曲げてしっかり握ったら 3)a2そのまま肘を伸ばします。 自然に手首は背屈(甲側に曲がる)していき、骨格の性質を利用して楽に絞れます。 (最下段の写真) そして絞った時に肘は完全に伸び切らないはずです。
結局、その形が1番楽に効率よく力が入れられるのです。 これを利用しない手はありません。
バレーボールのアンダートスの時も、ボールを打ちかえす時に手を緩めて組んでいますか? 少し早めに手をシメて組みますよね?
同じ力でも使い方を変えるだけで、かなり動きが変わります。 | | |
|
|
|
脚の裏面(大腿二頭筋・腓腹筋など)のストレッチをするときに 写真1のような前屈ストレッチをする事がありますが、 実は、これだけではあまり両足の裏が的確にストレッチされません。 柔軟性のテストの種目にはなっても、柔軟性を高めるものとしては 少々問題があります。 その理由は以下の事が考えられます。
理由1 つま先をポイント(伸ばす・腹屈する)にする場合と フレックス(ゲタ・背屈)にする場合では伸び方が違います。
☆理由2 この二つめの理由が重要です。 写真2のように柔軟性がある人は、さほど問題ではありませんが、 写真1くらいの柔軟性の人は、 写真3の線が示すように背中・腰部・臀部・太腿・ふくらはぎ のいずれかがカタい状態だと前屈できません。
さらに、たいていの人は右足と左足では柔軟性が違います。 と、いうことは仮に写真4のように 右足が柔らかくて、左足がカタい人が前屈した場合、 左足の柔軟性の限界までしか前に倒れることができません。
とすると当然、両足とも的確にストレッチできないことになります。
いつまでも柔軟性が向上しない人はこのような方法(ボディーケアコーナー〜脚の裏面のストレッチ)でストレッチをしてみて下さい。 | | |
|
|
|
支持している状態が続いているスタンツにおいて、 トップとベースの間には重心の垂直線上の一致が存在しています。 簡単に言うと「軸が一本になる」ということです。
この軸の一致があれば、身体への負担が減り、安定感が増し、 効率よくスタンツが実施できます。 さらには事故や故障の危険性が減少します。
この効率の良さが、「根性論の美学」と「苦痛」から あなたを解放してくれるのです。
ここでは比較的見て分かりやすいシングルベースエクステンションで解説します。
写真1 トップの軸とベースの軸が1本になっています。 トップの重心がベースの重心の上にあるので、バランスを保ちやすく、 ベースは腕で支えているのではなく腕を介して全身で支えているのです。
写真2 日本人女性は手が比較的小さい為に、握りやすさから土踏まずを握る人がいますが、 写真でも分かるように土踏まずを握るとトップとベースの重心はズレてしまいます。 靴底の真ん中=重心の真ん中 ではありません。
写真3 さらに靴底のつま先側を握るとトップとベースの重心線はかなり離れてしまうので これでは落下してしまうことは容易に想像できます。 仮にこの状態を保ちつづけようとすると、写真4のようになります。 トップの体重は→Aの方向に、ベースの支持力は→Bの方向に掛かるので、 ∠aの手首と∠bの足首にとても強靭な筋力が必要になります。
多少効率が悪くても強靭な筋力があれば出来てしまう事がありますが、 効率の悪いスタンツをカバーする為に筋力アップをするのはナンセンスです。
写真5 物理で言う「作用・反作用」です。 作用・反作用の「方向と力」が安定したスタンツを生みます。 ここで誤解しやすいのが「トップは何もしない」という言葉です。 本当に何もしないと作用・反作用のバランスが悪くなります。 つまり、「何もしない」のではなく、「余計なことをしないように姿勢を維持する」のです。
まとめ スタンツは重心(軸)を考えて行う事が必要であり、 その為のトレーニング(筋力トレーニング・感覚トレーニング)が 必要不可欠だということです。
重心線は基本的に身体の中心付近にあります。 つまり骨か骨の近くにあります。 筋肉で支えるのではなく骨で支え、その骨を支える為に筋肉があるのです。
これらのことから発展させて考えると、 ベース・スポットはまず倒立やマット運動で自分の身体を支える筋力をつけ、 その後にウェイトトレーニング等で外力を支える力をつけていかなければなりません。 自分の身体も支えられないのに他人の身体など支えられないと言うことです。
また、トップはベースに負担を掛けないようにする為に、 不必要な筋肉で身体を重くしてはいけませんし、物理的に軽くしつつ、 姿勢維持の為のトレーニングをしなくてはいけません。 | | |
|
|