楽しく安全な活動の為に
☆事故・怪我の防止

☆事故防止の基本的な考え方
 身体活動を伴う体育やスポーツ活動には、怪我などに結びつきやすい要素や要因が少なからず含まれています。
特に、積極的に活動を展開する運動部活動においては、怪我などの発生が多くなる結果となっています。

つまり、体操やチアリーディングでは、技術レベルが上がれば上がる程、難易度が上がるために、
怪我や事故の可能性が大きくなるということです。
そういった場合、不幸にも大きな事故につながる場合も見受けられます。
しかし、活動が盛んになるにつれて、怪我が増加したり事故もある程度発生することは当然であるという性質のもので
はありません。
 
そのような怪我や事故を未然に防止し、安全な活動をするために学校またはチーム全体としての、
万全なシステムつくりや、万が一に備えた救急処置の明解化と
関係者への連絡システムの確立などの救急体制の整備が強く望まれます。

体育・スポーツ活動には、潜在的危険要因が内在している。 だからといって事故は当然と考えてはいけないし、
 活動が消極的になってもいけない。
安全確保能力は、周到な計画のもと、実践することによってのみ育成される。


 一方、計画の段階から、活動主体である各選手の安全に関する知的理解を意図して、
また安全に活動できる能力や態度を最大限に養えるように、
そのような内容を計画の重要な部分に位置付けておく事が必要です。

例えば、コーチや上級生は新しいスタンツの練習に入るときに、選手全員に
どういう段階的練習法ですすめるか
どういう事に気をつけるべきか
どういうセッティングと補助で安全対策をすべきか
等をしっかりと説明して確認させておかなければならないという事です。

言い換えれば、このような計画的な活動が、怪我や事故を防ぐ第一歩であり、さらに積極的に安全に関する内容を明
確にして、不断に安全を追求する配慮が求められます。

万が一怪我や事故が起こったとしても未然に防ぐための最大限の努力を
したかしないかで怪我の具合や責任問題の結果が大きく違うのです。



☆ 選手の主体的な事故防止行動につながるポイント
 怪我や事故を防ぐ為には、選手一人一人が安全に関する知識や技能を身に付け、
選手自身が積極的に自分や他人の安全を守れるようにする事が大切です。
そのような実践的な態度や能力を養う為には、通常の計画的な活動の中での指導者からの適切な指導が大切であ
り、特に次のような指導上の留意が必要となるでしょう。

 自分自身の安全を確保するとともに、他人(仲間)の安全にも十分配慮することが出来るようにする。
 種目に応じた技能が、直接・間接的に事故防止につながる事を十分に理解し、技能の向上に努めること 
  が出来るようにする。
 技能向上に努めるとともに、自己の能力を理解できるようにする。



☆ 事故事例から学ぼう
 不幸にしておきた事故の例では、いくつかの同様なパターンが見られます。
それら事故事例から、危険の要因や事故発生の要因を踏まえ、事故を回避する為の方法や対策を検討し、
実行することが重要となります。
(事故・怪我発生報告書を利用すれば、本人も、チームとしても事故事例から対策を学ぶことが出来ます。)

単に「危ないから気をつけよ!」的な注意ではなく、具体的な方法を提示できる事、
またそれが出来る指導者が求められます。
 
部活動中の事故事例のある分析によると、大きく次の3つのものを発生要因として取り上げることが出来ます。
活動の場の安全への配慮不足
活動の道筋が不明瞭
内容・課題が自己の能力の実態に合わない
等です。

また、それらの具体的な原因は次のようなものが大半でした。
1) 活動の場の安全が配慮されていない
  不要な道具等……不必要な器具、ガラスの破片、空缶、脱いだ上着やタオル、ポンポンのごみ等
  選手の動きの方向が交差している……約束事の不徹底等
  用具の配置が不適切……距離や空間の確保等
2)活動の道筋が不明瞭……内容・方法の不徹底等  
  自分や仲間が何をするのか分からない  
  手順が不明で予測できない  
  ルール・きまりが不徹底……等
3)練習の内容・課題が自己の能力の実態に合わない  
  ショルダースタンドも安定していないのに2−2−1の2,5段を行う
  トランポリンや体操の経験が無く、ちゃんと練習もしていないのにバスケットトスでバックフリップを行う・・等

このように原因にいくつかの同様のパターンがあるという事は、かなり事故・怪我の予防が出来るということですね。

この結果に示す「活動場所」「活動の道筋」「課題・内容」三つの要因はともに特殊なものではありません。
チアリーディングに限らず、広く体育やスポーツなどの活動においても共通する基本的な条件です。
活動の頻度や程度に違いがあっても、基本的に留意しなければならないポイントは同じであるということです。

またそれぞれの具体的な原因も通常の活動や指導において調整し、
そのような危険を回避する事ができる範囲のものと言えるでしょう。



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